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海外でのショッピング利用メリット・デメリットとお得な活用法を解説
海外旅行や海外生活においてクレジットカードを利用することで、より便利に支払い・外貨調達が可能となります。
クレジットカードを海外で使う方法は主に「ショッピング利用」と「キャッシング利用」に分けられます。ショッピングとキャッシングでかかる手数料が変わってきます。
海外での買い物利用(ショッピング利用)
海外利用の仕組み
まず海外でクレジットカードを使って買い物すると国内での利用とは異なり、以下の合計額が請求金額となります。
「カードブランドレート×利用額」×「海外事務手数料」=請求金額
カードブランドレートとは
カードブランドレートは、VISA、Mastercard、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースなど各カードブランドが定める為替レートです。 VISA、Mastercard、JCBはレートを公表しています。
VISA為替レート(Currency Exchange Calculator)
例えば同じ楽天カードであっても「楽天JCBカード」と「楽天VISAカード」では、同じ日に同じ買い物をしても請求額が若干異なります。それはカードブランドによって為替レートが若干異なるためです。
こちらは2022年2月1日公表のカードブランドレートです。ご覧の通り、各カードによってレートが異なります。
2022年2月1日公表レート | VISA | Mastercard | JCB |
米ドル | 115.619 | 115.614 | 115.315 |
ユーロ | 129.381 | 129.397 | 129.533 |
英ポンド | 155.317 | 155.582 | 155.063 |
中国元 | 18.1812 | 18.1768 | 18.221 |
韓国ウォン | 0.09600 | 0.09592 | 0.096 |
香港ドル | 14.8291 | 14.8293 | 14.814 |
台湾ドル | 4.15644 | 4.16027 | 4.173 |
カナダドル | 91.1899 | 91.0913 | 90.78 |
オーストラリアドル | 81.6231 | 81.6255 | 81.566 |
タイバーツ | 3.48367 | 3.47783 | 3.488 |
シンガポールドル | 85.6506 | 85.5720 | 85.478 |
フィリピンペソ | 2.26306 | 2.27252 | 2.262 |
インドネシアルピア | 0.00803 | 0.00809 | 0.008 |
ベトナムドン | 0.00510 | 0.00510 | 0.005 |
マレーシアリンギット | 27.6602 | 27.6578 | 27.561 |
上記は2月1日各社計算時のデータでとなります。あくまで参考数値となります。
為替レートは24時間変動していることもあり、日、時間、1分1秒によってJCBの方がレートが良かったりMastercardの方が良かったりと様々です。通貨によって総合的にレートの良い通貨、悪い通貨も統計的には存在します。しかし、その日のレート次第ともいえるため安いレートを狙ってカード利用するのは至難の業です。
レート計算日はカード利用日ではない
複雑なのが、請求時の適用レートは「実際にカードを利用した日ではない」という点です。
カード会社が請求額を確定させるために計算を行うのは、「伝票がカード会社に到着した日」とされています。よってカード利用日が8月1日であっても、伝票到着日が8月3日であれば8月3日のレートで計算されます。
さらに伝票到着日はカード発行会社によって異なります。
三井住友カード、JCBカード、三菱UFJニコス、楽天カード、ジャックスカードなどなど、カード会社によって伝票到着まで数日の差が発生する場合があります。
8月1日にカード利用した場合、早い会社であれば8月1日に伝票到着し8月1日の為替レート適用となりますが、遅い会社だと8月3日に到着し、8月3日の為替レートとなるといった具合です。
よって同じ日の別々のカードを使っても、換算日が異なる可能性があるためレート比較をおこないにくいのが実情です。
海外事務手数料とは
為替レートの仕組みについて解説しましたが、続いて「海外事務手数料」を解説します。
海外事務手数料は「カード発行会社」が定めるクレジットカードの海外利用手数料です。
基本的には外貨決済時にかかる費用といえます。
例えば1ドル100円のときに100$分の買い物をし、海外事務手数料が2.0%のカードで買い物をした場合、10,200円が請求されます。
前述の通り、海外事務手数料はカード発行会社が定めており、同じカードブランドだから一概に手数料も一緒というわけではありません。
例えば「三菱UFJニコスが発行するJCBカード」と「JCBが発行するJCBカード」では手数料が異なります。
例えば三菱UFJニコスが発行するJCBカードとJCB自体が発行するJCBカードでは手数料が異なります。VISAとMastercardは独自にカード発行しておらず、カード発行会社が存在しますが、JCBやAmerican Expressは独自に発行するカードと、ブランド供与したカードが存在します。
海外事務手数料はカード発行会社が定めており、わからない場合は請求書を見ましょう。
例えば楽天JCBカードはブランドこそJCBであっても、発行元は楽天カードとなります。逆にJCBオリジナルシリーズはJCBが発行しているため、発行元はJCBとなります。
同様にセゾン・アメックスはアメックスブランドではありますが、発行はセゾンカードとなります。ただアメックスは発行元に限らず2.00%に統一されています。
おもな海外事務手数料
発行元 | 海外事務手数料 | ||||
VISA | Mastercard | JCB | アメックス | ダイナース | |
JCB | – | – | 1.60% | – | – |
三井住友カード | 2.20% | 2.20% | – | – | – |
三菱UFJニコス | 2.20% | 2.20% | 2.04% | 2.00% | – |
楽天カード | 1.63% | 1.63% | 1.60% | 2.00% | – |
セディナカード | 2.20% | 2.20% | 2.20% | – | – |
セゾンカード | 2.20% | 2.20% | 2.15% | 2.00% | – |
オリコカード | 2.20% | 2.20% | 1.60% | – | – |
ジャックスカード | 2.20% | 2.20% | 1.60% | – | – |
イオンカード | 1.60% | 1.60% | 1.60% | – | – |
MIカード | 2.00% | – | – | 2.00% | – |
PayPayカード | 2.20% | 2.20% | 1.60% | – | – |
ポケットカード | 2.20% | 1.90% | 1.60% | – | – |
ライフカード | 2.00% | 2.00% | 1.60% | – | – |
EPOSカード | 1.63% | – | – | – | – |
UCカード | 2.20% | 2.20% | – | – | – |
TS CUBIC | 2.20% | 2.20% | 2.15% | – | – |
アプラス | 1.63% | 1.63% | 1.60% | – | – |
アコムACマスターカード | – | 1.63% | – | – | – |
American Express | – | – | – | 2.00% | – |
TRUST CLUBカード | 2.0% | 2.0% | – | – | 1.3% |
一見するとダイナースの海外事務手数料が安いので、海外利用にはダイナースが良いと思えてしまいますが、冒頭の通りカードブランドの為替レートが影響してきます。ダイナースは為替レートが悪く、海外事務手数料が安くてもトータルでは損といったこともあります。
またダイナースは国によって使えるお店が少ない、といった点も考慮すべきです。
海外利用の注意点
海外利用時の注意点をあげておきます。
使える国と使えない国
ダイナースは国によって使えるお店が少ないと指摘しましたが、国によっても普及の具合が異なります。
観光客の多い国や地域でこそクレジットカード払いに対応していますが、国によってはほとんどの店でクレジットカード払い自体ができないケースもあります。
例えばアメックスは世界的に使えるお店が少ないといえますが、本場アメリカとなると使えるお店は多いです。逆にタイとかでは、アメックスが使えるお店が少なく代わりにJCBが使えるお店が多いです。
下記はクレジットカードの2015年の世界シェアです。
VISA 58%
Mastercard 26%
American Express 3%
JCB 1%
Diners Club 1%
結論は海外旅行には「VISA」か「Mastercard」のクレジットカードを持っておけば世界中で困ることはありません。
ここで観光立国であるタイを例にクレジットカード事情をみてみると、
有名な観光地であるバンコクやプーケット、パタヤなどは多くのお店でクレジットカードは使えます。タイではJCBが積極的に展開している関係もあり、VISA、Mastercardの他、JCBが使えるお店も多いです。American Expressは使えるお店は少なく、ダイナースとなると百貨店やホテルなど使える場所が限られてしまいます。
たくさんの観光客が訪れるタイであってもJCBだけだと心許なく、American Expressやダイナースだと使えないお店が多いのです。
さらに屋台などではクレジットカードでの支払いはできません。
またお店によっては○○○バーツ以上買い物しないとカードが使えなかったりするお店も存在します。
つまり、海外でクレジットカード利用を前提にするのであれば、必ずといっていいほど「VISA」か「Mastercard」ブランドのカードを持っていくようにしましょう。
海外での円建て払いには注意
クレジットカードで海外での買い物の際に気を付けていただきたいのが、支払い時に「日本円と現地通貨どちらで支払うか」聞かれる場合があります。円建ての方が安心感があり、海外事務手数料もかからないためお得に思えますが、実は請求額自体がかなり高額で為替変動リスクや海外事務手数料を払う以上に円建て決済の方が割高です。なので海外での買い物で日本円か現地通貨と聞かれたら現地通貨を選択するようにしましょう。
・「カードブランドレート×利用額」×「海外事務手数料」=請求金額
・利用日のレートでなく伝票到着日のレートが採用される
・海外事務手数料はカード発行会社によって異なる
・海外事務手数料が低くてもレートが悪いと意味がない
・VISAかMastercardブランドのカードは持っておきたい
上記を踏まえると還元率の高いVISAかMastercardブランドクレジットカードの利用か、海外事務手数料のかからないカードの利用がお得に買い物を楽しむ方法になります。
海外利用で2.5%還元を誇った「地球の歩き方JCBカード」が有名でしたが、発行停止となってしまい、現在海外事務手数料以上に還元率の高いカードはほぼ存在しません。
さらにVISAかMastercardブランドに絞るとなると、使えるカードが限られてしまいます。
そこでおすすめしたいのが「Revolutカード」です。
Revolutカードは英国発祥のフィンテックが発行するプリペイドカードです。

プリペイドカードのため20歳以上の方であれば誰でも発行できます。
VISAかMastercardのブランドのクレジットカード、デビットカードからチャージができる上、KYASHを経由させた場合、American ExpressやJCBでもチャージ可能です。
事前にチャージカードを登録しておけばレジに並んでいる間に即座にチャージ可能です。
最大の特徴はマルチカレンシー口座を持てる点です。
マルチカレンシー口座とは1つのアカウント内に円口座、ドル口座、ユーロ口座、タイバーツ口座と通貨ごとに口座を保有できます。
よって事前にチャージを行い、利用する通貨に両替しておくことで海外事務手数料が発生せず買い物を行うことができます。また海外事務手数料がなくても両替レートが悪いと意味がありませんが、Revolutのレートはかなり良心的レートといえる上、世界中で使える「VISA」ブランドとなるため、海外生活・海外旅行の必需品といえるカードです。
2022年1月11日の各両替レートをご覧ください。
Revolut | トラベレックス | ドルユーロ | プレスティア (仲値) | VISA 公表レート | Mastercard 公表レート | |
米ドル | 114.94 | 118.420 | 117.65 | 115.24 | 115.869 | 115.859 |
ユーロ | 131.57 | 118.420 | 134.16 | 130.78 | 131.463 | 131.374 |
英ポンド | 156.25 | 169.350 | 162.43 | 156.91 | 157.500 | 157.639 |
タイバーツ | 3.448 | 3.9300 | 3.575 | 3.45 | 3.458 | 3.448 |
両替レートや他のマルチカレンシー口座に比べRevolutの両替レートが良心的です。
また使い方次第で海外事務手数料を節約しつつポイントの二重、三重取りも可能となっています。